捨てようとした学習机に、家族がいた。|14歳・輝李の物語|
「学習デスクを処分したくて。」
そう言って『ナナハコ』を訪れた14歳の中学生・輝李。
最近はリビングで勉強している。
自分の部屋は暑いし、寒いし、何より一人。
だから古い学習デスクなんて、もういらない。
そんな輝李に聖夜は尋ねます。
「その学習デスク、買ってもらったときのこと覚えてる?」
幼い自分。
嬉しくてはしゃいだ日。
誇らしげだった父。
毎日隣に座ってくれた母。
家具には、傷や年月だけではなく、家族と過ごした時間も残っている。
輝李が思い出したのは、学習机ではなく、あの日の家族でした・・・
【ペルソナ】※舞台設定はインテリアショップ『ナナハコ』
・輝李(えり:14歳/CV:坂田月菜)=高校進学で両親と対立している中学生
・風結(ふゆ:25歳/CV:上町侑生)=局アナを目指すリゾートFMのDJ
・聖夜(いぶ:31歳/CV:山﨑るい)=家具ショップで働くインテリアコーディネーター
【輝李】
「電動ソファか、憧れるなあ」
【風結】
「あら・・・こんにちは。
それ、市内の中学?」
【輝李】
「え・・・そうですけど・・
おねえさん・・補導員じゃないですよね」
【風結】
「違うわよ、それに・・・
家具屋さんで補導されるわけないでしょ。
しかもこんな真昼間に」
【輝李】
「ああ、よかった」
【聖夜】
「いらっしゃいませ」
【風結】
「じゃあ、私はこれで」
【聖夜】
「ありがとうございました」
【輝李】
「じゃあね、お姉さん、バイバイ!」
【聖夜】
「こんにちは。
お嬢さん、おひとり?
おとうさん、おかあさんは?」
【輝李】
「あ、今日はうちひとりです」
【聖夜】
「まあ、どうしたの?」
【輝李】
「実は、学習デスクを処分したくて」
【聖夜】
「処分?」
【輝李】
「はい。
ってか、昨夜(ゆうべ)ガチで親と喧嘩しちゃって」
【聖夜】
「あら、なにがあったの?」
【輝李】
「うち、最近リビングで勉強してたわけ。
そしたら昨日『自分の部屋でしろ。学習デスクあるだろ』
って怒られたんだけど。イミフじゃない?」
【聖夜】
「そうなんだ」
【輝李】
「だーかーらー、今の学習デスク処分して、
リビングに置いても超馴染むデスクを探しに来た。
これなら親も許すっしょ」
【聖夜】
「ふうん。
どうしてリビングで勉強したいの?」
【輝李】
「だってさー、うちの部屋、寒いし暑いしひとりなんだもん」
【聖夜】
「なるほどねー。
じゃ、例えば、こんなデスクとかはどう?」
【輝李】
店員のおねえさんが見せてくれたのは、アクバ組めそうなおしゃれな木製のデスク。
うちが、『それ、ガチでよき!』って言おうととしたら、
【聖夜】
「だーけーど。
学習デスクを処分するのはもったいないと思う」
【輝李】
「え?なんで?」
【聖夜】
「その学習デスク、買ってもらったときのこと覚えてる?」
【輝李】
「はい」
【聖夜】
「そのときの気持ち、思い出してみて」
【輝李】
「えっと・・・あんときは・・・
幼稚園から帰ったら、うちの部屋ができてて、そこに学習デスクが置いてあった」
【聖夜】
「どんな気持ちだった?」
【輝李】
「もう嬉しすぎて、ずーっとはしゃいでた」
【聖夜】
「きっと学習デスクもそう思ってたはずよ」
【輝李】
「え?」
【聖夜】
「なのに処分とか言われたらどう思うかな?」
【輝李】
そういえば、あの日パパ、
仕事から帰ってきてすぐ、うちに言ってきたんだよね。
”どうだ?かっこいい学習デスクだろー!”って。
ママは小学校へ入学するまで毎日、
何時間も横に座ってくれたっけ。
あれ?
なんでうち、学習デスクを処分しよう、なんて思ったんだろ?
【聖夜】
「ね」
【輝李】
「あの、おねえさん。
さっきの机、とりおきしてもらうことってできますか?
うちが大きくなって働くようになったら、あの机で勉強したい」
【聖夜】
「そうね、考えとくわ」
【輝李】
おねえさんは笑ってウィンクした。
うちは急いでお店を飛び出す。
早く帰って、あの学習デスクに座りたい。
あの日のパパとママにも、また会いたいな・・・
なんて、タイムスリップしないと無理か・・・笑



