【七つの箱 Episode 2〜天音】丸い食卓の向こう側|ナナハコ スピンオフボイスドラマ

一人暮らしなのに、なぜ丸い食卓?|天音と家族の物語|

27歳。ホテルウーマンの天音。
ずっと望んでいた一人暮らしをめぐって両親と大喧嘩し、勢いのまま部屋を内見。
そして新生活の家具を探すため、『ナナハコ』を訪れます。
そんな彼女に聖夜が勧めたのは――
小ぶりな「丸いダイニングテーブル」。
一人なのに、どうして食卓が必要なの?
「丸いテーブルには上座も下座もないんです。」
いつか大切な人ができたとき。
両親が遊びに来たとき。
そこに座る人の顔を思い浮かべた瞬間、天音は自分が本当に欲しかったものに気づき始めます。

家具を選ぶことは、これからの人生を想像すること。
一人暮らしを始める前の、一人の娘と家族の物語です・・・

【ペルソナ】※舞台設定はインテリアショップ『ナナハコ』
・天音(あまね:27歳/CV:和田ひまわり)=一人暮らしを検討中のホテルウーマン
・星羅(せいら:26歳/CV高松志帆)=リモートで仕事をこなす子育て主婦
・聖夜(いぶ:31歳/CV:山﨑るい)=家具ショップで働くインテリアコーディネーター

【天音】
「あ、あの・・・お店の方ですか?」

【星羅】
「え、あ、ごめんなさい。
私、ただのお客さん・・・
って、ああ、この電動ドライバー」

【天音】
「どうもすみません!」

【星羅】
「あ、いえいえ。この格好ですもんねー。
なにを見に来たんですか?」

【天音】
「ソファです。一人暮らし用の・・」

【星羅】
「まあ、素敵」

【聖夜】
「あ、申し訳ありません・・・お客様」

【星羅】
「いいえー。
あの、一人暮らし、がんばってくださいね!」

【天音】
そう言って、親指を立てる。
店内ですれ違った、黄色いジャケットの女性。
腰に工具?みたいなのをぶら下げてたからつい・・・

【聖夜】
「なにをお探しですか?」

【天音】
自分の失敗に恥ずかしくなりながら、店員さんに答える。

私の名前は天音。
市内の大きなホテルで働く、ホテリエ。女性フロントクラーク。

でも、駅前とはいえ、県外から通うのはちょっと大変。
ずいぶん前から一人暮らししたい、って言ってるんだけど両親は大反対。
”嫁入り前の娘が・・”とか、っていつの時代の話?
それに私、いくつだと思ってんの。27歳よ、27。

1週間前の言い争いで、私キレちゃって、
勝手にお部屋、内見してきちゃった。

1DK。築10年。

で、今日インテリアショップ『ナナハコ』に来たのは、
おひとりさまの家具選び。

【聖夜】
「今日は、新居の家具ですか?」

【天音】
「わかるんですか?」

【聖夜】
「いえ・・・ダイニングとソファとベッドを一度に見るってことは」

【天音】
「あ、そっか。普通は、なにか決めてきますもんね」

【聖夜】
「ひょっとして・・・お一人暮らしされるんですか?」

【天音】
「え?
どうして・・・?」

【聖夜】
「ホテルライクなベッドとかソファって、お一人なのかなあって」

【天音】
鋭い・・・
でもまあ、インテリアショップの店員さんならあたりまえなのかも。
結局、彼女が勧めてくれたのは、
小ぶりな丸いダイニングテーブル。
なんで?

【聖夜】
「丸いテーブルには上座も下座もないんです。
人数だって決まっていません。
いつか大切な人ができたときは、向かい合って。
ご両親がいらしたときは、どこに座ってもお互いの顔が見える・・・」

【天音】
「え・・・」

【聖夜】
「そもそも、食卓っていうのは、家族の笑顔が集まる場所。
だからお一人暮らしの方にも、必ず食卓をおすすめするんです」

【天音】
家族・・・
ああ・・・そうなんだ・・・
なんか私、大切なこと忘れてた・・
ってか・・いろんなことが抜けてたかも・・・

親と喧嘩して、勝手にお部屋を内見して、家具まで決めようとして・・

【聖夜】
「家具って、長〜く使うものですから。
焦らずに、じっくり検討してくださいね」

【天音】
言葉がグサッと突き刺さる。

私、なにをこんなに焦ってたんだろう・・・

もう一度、ちゃんと両親と話してみようかな。
そのうえで、一人の大人として自立していくかどうかを決めよう。

目の前の丸いテーブル。
まあるく座る両親の笑顔が、心の中に浮かんで、消えた。

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